課題
今日、多くのサイクリストやトライアスリートは、インタラクティブ・ローラートレーナーを頼りにしている。Indoor Training UGは、DelphiとFireMonkeyで開発したサブスクリプションベースのソフトウェアを、同等の市販製品と比較して数分の1のコストで提供している。
結果
icTrainerアプリは、ローラートレーナーや他のフィットネス装置に対応した軽量なアプリケーションで、カスタマイズ可能なオプションと、無数のトレーニングデバイスへの接続をサポートする。Bluetooth BLEまたはANT+を介して、心拍数モニター、ケイデンスモニター、走行速度モニターをサポートする。このマルチプラットフォームアプリは、Windows PC、macOSコンピュータ、iOSタブレット/iPad、Android タブレット上で動作する。
ローラートレーナー向けのインドアサイクリングソフトウェア
新型コロナウィルスの感染拡大のさ中、仕事の休憩時間に思いついた小さなアイデアから、Philipp Hofmann氏は、スタートアップ企業Indoor Training UGを創業し、Delphiを用いて無数のトレーニングオプションを備えたインドアサイクリングアプリを開発した。それ以来、同社は成長を続け、サブスクリプションベースのソフトウェアを提供する。しかも、そのコストは同等の市販製品と比較して、数分の1に抑えられたものだ。
課題
通常のサイクリングと並行して、インドアバイクトレーニングは補完的な役割を担う。特に、一年中トレーニングできること、身近な環境では遭遇しないようなルートや走行モードのシミュレーションを行えるというメリットがある。中でも、ジムでも家庭でも使えるクラシックなスピニングバイクやエルゴメーターが、最も一般的に利用されている機器だ。
しかし、サイクリストやトライアスリートの間では、自分の自転車をクランピングしたり、部分的にコンバートして直接接続できるインタラクティブなローラートレーナーへの関心が高まっている。いわゆるローラートレーナーの価格帯は、$350 ~ $1,100(コースの登坂角度を完璧にシミュレーションできる完全スマートバイクの場合は ~$3,000)である。
ローラートレーナーは、ソフトウェアによって制御可能でき、速度、転がり抵抗、傾斜をシミュレーションする。既存のシステムはしばしば、非常に凝った仮想空間とビジュアルトラックレイアウトを提供する。さらに、これらは、オンラインでのみ利用可能で、所有権が設定されたプロプライエタリコンテンツであることが多く、ユーザー自身のコンテンツを追加することができない。
開発環境DelphiとFireMonkey フレームワークによって構築されたicTrainerアプリは、無数の接続性オプションとカスタマイズ可能なオプションを利用できる軽量な代替機能となる。
アプリケーション
icTrainerアプリをインターフェイスモンスターと呼ぶことは、けっして誇張ではない。なぜならばDelphiとFireMonkeyで開発されたこのアプリケーションの重要部分は、Bluetooth BLEを介した無数のトレーニングデバイスとの接続に関わるからだ。これらの一部は標準的なインターフェイスを介して、また一部は独自拡張機能を介して統合される。
ローラートレーナーを例にとると、パラメータは以下の通りである。
- ターゲット抵抗ワット数(書き込み)
- 勾配シミュレーション(書き込み)
- パワーメーター(読み取り)
- ケイデンスメーター(読み取り)
- 心拍数モニター(読み取り)
実際、元々Garmin社が開発した節電接続機能のインターフェイスANT+ を統合する作業は、開発者の頭を悩ませた。この技術を用いて心拍数モニターをサポートするには、C++ SDKsをコンパイルして統合し、適合するANT+ USBスティックを用いた一部デバイスの追加拡張を施し 、さらにそれらをWindows及びmacOS向けに適応させる必要があった。
FireMonkeyは、これらの機能の90%を非常に容易にすべてのプラットフォームにポーティングできるパワフルなツールです。しかし、残る10%を過少評価してはなりません。そ れらは主として、macOS、iOSおよびAndroidの認証コンセプトに関わる重要な部分であり、メーカー側に大きな動きがある部分だからです。
Philipp Hofmann氏( Indoor Training UG社CEO)
このアプリの人気の秘密は、トレーニング中、任意のWebサイトにアクセスできる統合型ブラウザだ。音楽、サイクリング動画、Netflixやその他のサービスを、トレーニングしながら並行してストリーミングできる。現在、以下の表に示す通り、僅かな制限事項があるため、組み込みブラウザでのビデオストリーミングサービスは、一部のプラットフォームではサポートされない。
Windows | macOS | iOS | Android | FireOS | |
---|---|---|---|---|---|
YouTube | |||||
Netflix | |||||
AmazonPrime |
ユーザーは、リアルバイクビデオのプレイバックを、トレーニング中に使いたいと希望している。そのためには、プレイバックスピードを、現在のトレーニングセッションのスピードに動的に適応させなければならない。現在、開発チームは、FireMonkey向けにFlash AVソフトウェアからFFMPEGプレーヤーを統合し、対応するストリームの制御に利用している。トレーニングセッションで、ユーザーは、アプリ内のサイクリングトラックビデオの広範なリストからビデオを選択できる。これらのビデオは通常GoProカメラを使って記録されたもので、個別に選択が可能だ。
icTrainerアプリのインターフェイスは、様々な方法で、個々に構成できる。トレーニングの数値は、その場で表示または変更でき、マルチメディアストリーム用のブラウザを表示したり、好みに応じて、別個のモニター上に出力することもできる。
icTrainerアプリのトップページ
このトレーニングアプリに加えて、開発チームは、Delphiによって、iOSおよびAndroid向けスマホリモコンも開発した。ユーザーは、icTrainerアプリが離れた場所の大画面上で動いている場合でも、必須機能をスマートフォンで制御することができる。このプロジェクトでも技術的ハードルがあったがIPベースのテザリングによって克服解決できた。
結論
icTrainerアプリは、Delphiを用いたマルチプラットフォーム開発の利点とFireMonkeyフレームワークの可能性、外部コンポーネントの統合を見事に実証するモダンなアプリケーションの成功例であると言える。各種インターフェイスの広範な接続性は、icTrainerアプリをソフトウェアエンジニアリ ングの観点から驚異的なものに高め、APIの柔軟な使用がヘテロジーニアスなハードウェアの世界でいかに機能するかを示唆している。
もちろん、Indoor Training UGによれば、同ソフトウェアの開発はまだまだ続く。ビデオチャットの設定や、より高度な詳細事項(例:パワーの左/右配分など)を要する(バイナリ)FITフォーマットでの結果の保存といった可能性を含め、さらなる機能拡張が計画されている。
概して、このインドアサイクリングアプリは、ハードウェアの制約要件が非常に低く、現在流通しているあらゆるローラートレーナー、心拍数モニター、ケイデンスモニター、走行速度モニター、外部パワーメーター、さらにカヤック/ローイング/スイミングエルゴメーター、(さらに近日中には)トレッドミルといった他のフィットネス機器とも通信できる。
同アプリは、Windows PC、macOSコンピュータ、iOSタブレット/iPad、Androidタブレット上で動作する。残念ながら、Delphi BluetoothLE実装については、Linuxサポートがまだ用意されていない。
もちろん、数十億の価値をもつ競合他社が存在しています。しかし、多くの顧客が私たちのアプリを愛用してくれています。それは、私たちが、意図的に他社とは異なるアプローチを採り、ゲーム化や仮想世界を回避し、その代わり、トレーニング中の柔軟性、音楽やリアルサイクリングビ デオに注力しているからです。
Philipp Hofmann氏( Indoor Training UG社CEO)
icTrainerの詳細、チュートリアル、FAQ及び製品価格についてはこちら:https://ictrainer.de or directly at このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。.
icTrainerアプリ開発に関するYouTubeビデオはこちら:
https://youtu.be/KaOYDrY5Tf4
icTrainerアプリ(チュートリアル/ヘルプ付)YouTubeビデオはこちら:
https://www.youtube.com/channel/UCA8JtIJrsuwIuYdXJupFuHQ/videos